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傷病手当金の期限が迫るあなたへ。終わった後に頼れる「障害年金」の基礎知識

うつ病で休職し、傷病手当金を受給しながら療養を続けてきた方で、「もうすぐ1年6ヶ月の期限が来る」という現実を意識し始めている方もいるかと思います。

まだ復職できる状態ではないのに、収入がなくなる。治療費も生活費もかかるのに、支えがなくなっていく。そのことを考えると、頭が真っ白になるかもしれません。

ただ、傷病手当金が終わっても、使える制度がなくなるわけではありません。うつ病でも申請できる可能性がある「障害年金」という公的な制度があります。まずそのことを知ってほしいのです。

この記事では、傷病手当金が終わった後に使える「障害年金」について、最初に知っておいてほしいことをお伝えします。

この記事でわかること
  • 傷病手当金の期限と、終わった後の現実
  • 障害年金という次の制度の存在
  • うつ病でも受給できるという事実
  • 受給の3要件と会社員の場合の受給額目安
  • 今すぐできる確認事項
この記事を書いた人
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西田 真琴【社会保険労務士法人きんか代表】

【保有資格】特定社会保険労務士                              
岐阜県で長年の企業労務経験と傾聴力を活かし、病気や障害を抱える方の不安に寄り添います。お話を親身に伺い、ご希望に沿った最善の道筋を一緒に見つけます。

傷病手当金の期限について、まず知っておいてほしいこと

傷病手当金には、受け取れる期間に上限があります。「自分があとどれくらい受け取れるか」を把握しておくことが、次の準備を始めるための最初の一歩です。

支給期間は通算1年6ヶ月

傷病手当金は、同じ病気やケガに対して、最長1年6ヶ月まで支給される制度です。

令和4年1月から制度が変わり、支給を開始した日から「通算1年6ヶ月」が上限となりました。途中で一時的に仕事に復帰した期間があっても、合計の受給期間は1年6ヶ月までです。

「自分があとどれくらい受けられるか」が気になる場合は、健康保険組合や協会けんぽに問い合わせると確認できます。

期限が来ると収入が止まる。ただ、そこで終わりではありません

1年6ヶ月の期間が終わると、傷病手当金の支給は停止されます。復職できれば給与が戻りますが、まだその状態でない場合、収入はいったんゼロになります。

怖いと感じるのは、当然です。

ただ、収入がゼロになって終わり、というわけではありません。傷病手当金が終わった後に使える公的な制度として、「障害年金」があります。

うつ病の回復には時間がかかります。1年6ヶ月という期限内に復職できる状態になるとは限りません。焦って無理に復職しようとすると、かえって症状が悪化することもあります。

「治療に専念したいのに、お金の心配で頭がいっぱい」という状況になっている方こそ、一人で抱え込まないでください。

傷病手当金が終わった後に使える制度:障害年金とは

障害年金とはどんな制度なのか、傷病手当金と何が違うのかを、一つずつ見ていきましょう。

支給期間に上限がない公的な年金制度です

障害年金は、国が設けた公的な年金制度です。

日本年金機構の案内では「病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金」と説明されています。

傷病手当金との大きな違いは、支給期間に上限がないことです。

1〜5年ごとに受給継続の確認はありますが、症状が続く限り受給できる可能性があります。会社員や公務員の方は「障害厚生年金」を、国民年金のみ加入者は「障害基礎年金」を請求できます。

傷病手当金が終わっても、収入の道が残っているということを、まず知っておいてください。

うつ病でも対象です。精神疾患で受給している方も多くいます

「障害年金」と聞くと、身体の障害をイメージする方が多いかもしれません。しかし、精神疾患も対象となります。

精神疾患で障害年金を受けている方は少なくありません。実際、最新の統計でも、新たに支給が決まった方の多くを精神障害・知的障害の方が占めています。令和6年度の件数は87,697件で、全体の67.0%にあたります。

日本年金機構のQ&Aでも、対象として「精神障害」が明記されており、うつ病ももちろん対象です。「精神疾患だから無理」ということは、まったくありません。

受給の3要件:今すぐ全部わからなくても大丈夫です

障害年金を受給するには、3つの要件があります。今は名前だけ確認しておく程度で十分です。

① 初診日から1年6ヶ月が経過していること

初診日というのは、病院で初めて診てもらった日のことです。初診日から1年6ヶ月後の日を「障害認定日」と呼び、これが障害年金を申請できる基準となる日です。傷病手当金の期間(最長1年6ヶ月)とちょうど重なります。

② 一定の保険料納付要件を満たしていること

これまで年金保険料を納めていたかどうかに関する条件です。難しく聞こえるかもしれませんが、会社員として働いていれば、多くの場合この条件をクリアできています。

③ 障害の状態が等級(1級・2級・3級)に該当すること

日常生活や仕事への支障の程度を示す段階です。

  • 1級:日常生活のほとんどに介助が必要な状態
  • 2級:日常生活が著しく制限され、働いて収入を得ることが難しい状態
  • 3級:働くことに著しい制限がある状態(厚生年金加入者のみ)

「自分は2級か3級に当てはまるのかな」と思った方に、少し具体的に説明します。たとえば、こんな状態が続いているなら、該当する可能性があります。

  • 外出がひとりでは難しい
  • 家事が安定してできない
  • 人との対応で強い疲労や緊張が出る
  • 働こうとしても、長続きしない
  • 薬の副作用や不眠で、日常のリズムが崩れている

すべてに当てはまる必要はありません。自分が該当するかどうかは、自分で決めるものではなく、専門家に確認してもらえばいいことです。今は「可能性があるかもしれない」と知っておくだけで十分です。

会社員なら月額約13万円が目安(障害厚生年金2級の場合)

障害基礎年金(国民年金側の定額部分)の金額は、令和8年度で次のようになっています。

  • 1級:年額1,059,125円(月額換算で88,260円)
  • 2級:年額847,300円(月額換算で70,608円)

障害厚生年金(厚生年金側)は、これに加えて加入期間や収入によって計算される金額が上乗せされます。会社員の方で2級に該当する場合、月額約13万円(年間約156万円)程度が目安です。配偶者やお子さんがいる場合は、さらに加算があります。

具体的な受給額は状況によって異なりますので、気になる方はまず相談してみてください。

既に傷病手当金が終わってしまった方へ

「もう遅い」と感じているかもしれません。しかし、遅くはありません。

初診から1年6ヶ月が経過していれば、今から申請できます。また、過去にさかのぼって受給できる「遡及請求」という方法もあり、障害認定日に遡って最大5年分を受け取れる場合もあります。

「自分は対象なのか」「何から手をつければいいかわからない」。そういう状態で相談してくる方が、むしろほとんどです。整理できていなくても大丈夫です。

【関連記事】申請が難しそうと感じている方へ

障害年金の申請では、日常生活の支障を具体的に伝えることが大切です。「診断書に何を書けばいいかわからない」「主治医にうまく伝えられない」という方は、こちらの記事で具体的な工夫をご紹介しています。

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うつ病で働けなくて、生活や将来のことを考えると、胸が苦しくなる…。 朝、起き上がることさえつらい日もあって、このままでは生活費も底をついてしまう…。 障害年金という制度があるのは知っているけれど、「うつ病の自分なんかが対象になるんだろうか」「身体の障害じゃないのにもらえるの?」と、不安に思われて

ここから先は、気になるところだけ読めば大丈夫です。

Q1:申請してから受給が始まるまでの3〜4ヶ月、生活費はどうすればいいですか?

A:審査を待つ間に使える制度が2つあります。

一つは生活保護です。書類が全部揃っていなくても申請できますし、原則14日以内に結果が出ます。窓口はお住まいの市区町村の福祉課です。
もう一つは生活福祉資金貸付制度というもので、生活費を低利・無利子で借りられます。窓口は地域の社会福祉協議会です。

「今は収入がない」という状況でも、使える制度がありますので、ご安心ください。

Q2:障害年金を受給すると、会社に知られますか?

A:会社に通知されることはありません。

手続きは日本年金機構と本人の間で行われるため、会社側に情報が届く仕組みにはなっていません。

ただし、在職中の方が申請する場合、会社が年金加入記録の確認に関わることがあります。気になる方は、申請前に年金事務所で確認しておくと安心です。

Q3:症状が回復したら、受給は止まりますか?

A:回復したら止まりますが、回復途中では止まりません。

障害年金には1〜5年ごとに更新があり、そのタイミングで主治医の診断書をもとに審査が行われます。その時点で等級に該当しなくなった場合に、受給が止まることがあります。

ただ、回復に向かっていることは、とても良いことですので、まずは治療に専念してください。

Q4:受給しながら、将来的に復職・就労することはできますか?

A:就労しながら受給を続けることはできます。

ただし、働き方の状況(勤務時間や内容など)は更新時の審査で確認されます。

焦って復職する必要はありません。体調が整ってきたタイミングで、ゆっくり考えていきましょう。

まとめ:傷病手当金が終わっても、次の道があります

傷病手当金が終わることへの不安は、当然のことです。ただ、その後に何もないわけではありません。

この記事のポイント
  • 傷病手当金は最長1年6ヶ月で終了する
  • 終了後も、障害年金という公的な制度がある
  • うつ病など精神疾患も対象(令和6年度支給件数87,697件)
  • 会社員で2級に該当する場合、月額約13万円が目安
  • 既に終了した方も、今から申請できる

療養しながら、お金の不安まで抱えてきた。そのつらさは、決して甘えではありません。

今すぐ全部わかろうとしなくて大丈夫です。まず確認してほしいのは、3つだけです。

  • 初診日を調べる:うつ病で初めて病院を受診した日がいつかを確認してみてください
  • 傷病手当金の終了時期を確認する:健康保険組合や協会けんぽに問い合わせると、残り期間を教えてもらえます
  • 一度、話を聞いてもらう:年金事務所、または障害年金に詳しい社労士に相談してみてください

申請できるかどうか、今の段階で自分一人で判断する必要はありません。まずは「自分に可能性があるか」を確認するところから始めてください。

整理できていなくても大丈夫です。「何から聞けばいいかもわからない」という段階の方も少なくありません。ひとりで判断せず、まずは今の状況を相談してみてください。

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西田 真琴【社会保険労務士法人きんか代表】

【保有資格】特定社会保険労務士                               岐阜県で長年の企業労務経験と傾聴力を活かし、病気や障害を抱える方の不安に寄り添います。お話を親身に伺い、ご希望に沿った最善の道筋を一緒に見つけます。

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