投稿日:2026.02.13 最終更新日:2026.02.13
肺がんで障害年金はもらえる?認定基準と申請のポイント
肺がんと診断されて、「この先、生活費はどうなるんだろう」「もう働けなくなったら……」と、不安を抱えていませんか。
抗がん剤の副作用で、体がだるくて思うように動けない日もある。
以前は当たり前にできていたことが、今はできない。
そんなつらさを感じている方も、きっといらっしゃると思います。
お伝えしたいのは、肺がんでも障害年金を受け取れる可能性があるということです。
呼吸が苦しい方、在宅酸素療法を受けている方、抗がん剤の副作用で毎日がしんどい方。
そうした方々が、年間83万円〜176万円ほどの障害年金を受給しているケースがあります。
この記事では、肺がんに絞って、認定基準や申請で気をつけたいことをお伝えしていきます。
- 肺がんが障害年金の対象になる理由と3つの受給条件
- 呼吸機能障害・在宅酸素療法・PS分類の認定基準
- 肺がんで障害年金を受給した方の事例
- 診断書で見落としがちなことと、よくある誤解
- 等級ごとの受給額の目安(年間83万円〜176万円)
西田 真琴【社会保険労務士法人きんか代表】
【保有資格】特定社会保険労務士
岐阜県で長年の企業労務経験と傾聴力を活かし、病気や障害を抱える方の不安に寄り添います。お話を親身に伺い、ご希望に沿った最善の道筋を一緒に見つけます。
目次
肺がんは障害年金の対象になる?

「障害年金って、身体障害者の人がもらうものでしょ?」
「がんで年金なんて、もらえるわけがない」
……そんなふうに思っている方、実は多くいらっしゃいます。
けれども、肺がんも障害年金の対象です。
日本年金機構も「がんや糖尿病、心臓の病気など、内部疾患の方も対象です」とはっきり案内しています。
なぜ肺がんでも対象になるのか、そして受給するために必要な3つの条件について、お話ししていきます。
見られるのは病名ではなく「生活への影響」
障害年金で見られているのは、病名そのものではありません。
「日常生活や仕事に、どれくらい支障が出ているか」ここが判断のポイントです。
つまり、「肺がん」という診断名ではなく、息が苦しい、体力が落ちた、といった状態がどの程度なのかで等級が決まります。
肺がんの場合、呼吸機能の低下だけでなく、抗がん剤の副作用による倦怠感やしびれなど、外から見えにくい症状も対象になり得ます。
「ちょっと歩くだけで息が切れて、前みたいには働けない」
「抗がん剤の副作用がきつくて、一日中ぐったりしている日もある」
こうした状態であっても、生活や仕事に支障が出ていれば、障害年金を受け取れる可能性があります。
「がんだから対象外」なんてことは、決してありません。
受給には3つの条件がある
肺がんで障害年金を受け取るには、次の3つの条件をクリアする必要があります。
- 初診日要件:肺がんで初めて病院にかかった日に、国民年金か厚生年金に入っていたこと。この「初診日」は、病名がついた日ではなく、最初にお医者さんに診てもらった日のことです。
- 保険料納付要件:初診日の前日までに、年金保険料をある程度納めていること。加入期間の3分の2以上が原則ですが、直近1年間に滞納がなければOKという特例もあります。
- 障害状態要件:初診日から1年6か月たった時点(障害認定日)か、申請するときに、障害等級に当てはまる状態であること。1級・2級・3級のどれかに該当すれば、受給できる可能性があります。
これらの条件についてもっと詳しく知りたい方は、がん全般の障害年金について書いた記事もありますので、そちらもご覧くださいね。
がんで障害年金を受給できる?対象条件と認定基準を解説
がん治療で仕事を休んだり辞めたりして、収入が減ってしまった。 治療費や生活費の心配で、治療に専念できない……。 そんな不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 実は、がんでも障害年金を受け取れる可能性があります。 抗がん剤の副作用で日常生活に支障が出ている方、がんによる臓器機能
さて、ここからは肺がんならではの認定基準についてお話しします。
肺がんの障害年金、どんな基準で認定されるの?

肺がんの障害年金では、主に4つの観点から判断されます。
呼吸機能の数値、在宅酸素療法を使っているかどうか、PS(パフォーマンスステータス)分類という全身状態の指標、そして肺を切除した後の状態の4つです。
「自分はどの等級に当てはまりそうかな」と考えながら、読んでみてください。
呼吸機能は検査の数値で判断される
肺がんで呼吸が苦しくなっている場合、検査数値をもとに等級が決まります。
よく使われるのは、手術後の肺の膨らみを見る「%肺活量」、吐き出す力を示す「予測肺活量1秒率(指数)」、そして血液中の酸素の状態を示す「動脈血酸素分圧(PaO₂)」などの検査データです。
特に、1秒量を予測肺活量で割った「予測肺活量1秒率(指数)」は、等級判定の重要な指標となります。
具体的な基準は以下になります。
| 等級 | %肺活量 | 予測肺活量1秒率 | 動脈血酸素分圧 | どんな状態? |
|---|---|---|---|---|
| 1級 | 30%以下 | 20%以下 | 55 Torr以下 | ずっと酸素が必要で、ほとんど歩けない |
| 2級 | 31〜40% | 21〜30% | 56〜60 Torr | 少し動くだけで息切れ、生活の多くに手助けが必要 |
| 3級 | 41〜50% | 31〜40% | 61〜70 Torr | 軽い作業でも息切れして、仕事にかなり制限がある |
※障害基礎年金には3級がないので、1級か2級のみ
数値だけで決まるわけではなく、在宅酸素を使っているかとか、全身の状態も見て総合的に判断されます。
なので、数値がギリギリでも、日常生活への影響が大きければ上の等級になることもあり得ます。
在宅酸素療法を使っていれば、原則3級以上
在宅酸素療法(HOT)をずっと使っている方は、原則として3級以上に該当します。
常に酸素が必要な状態というのは、仕事にかなりの制限があるということ。
だから厚生年金の3級に当たるとされています。
ただ、これはあくまでスタートラインの話。
体の状態によっては、2級や1級になることもあります。
- 酸素を使っていても、家の中を動いたりお風呂に入ったりするのがつらい → 2級くらい
- 酸素をつけていても、ほとんどベッドの上で、身の回りのことが何もできない → 1級くらい
ひとつ気をつけてほしいことがあります。
人工透析の場合は「始めてから3か月後」が障害認定日になる特例がありますが、在宅酸素療法にはその特例がないです。
HOTを始めても、障害年金の申請は原則として初診日から1年6か月後になります。
早めに認定されることもありますが、基本的には待つ必要があることを覚えておいてくださいね。
PS分類という「全身状態」が大事
PS分類って聞いたことありますか?
これは、がん患者さんの全身状態を0〜4の5段階で表す指標です。
がんの障害年金審査では、このPS分類がとても大事にされています。
がんって、どこにできるかで症状が全然違いますよね。
でも共通して見られるのが、「普段の生活をどれだけ自分でできるか」という部分です。
| PSスコア | どんな状態? | 等級の目安 |
|---|---|---|
| PS2 | 身の回りのことはできるけど仕事は難しい。日中の半分以上は起きていられる | 3級くらい |
| PS3 | 身の回りのことも一部しかできない。日中の半分以上はベッドにいる | 2級くらい |
| PS4 | ずっと寝たきり。身の回りのことが何もできない | 1級くらい |
申請するときには、今の生活の様子を主治医にしっかり伝えてください。
「少し動くだけで息が切れて、長く起きていられないんです」
「ご飯の準備も自分ではできなくて……」
こういう日々のしんどさを、診断書にちゃんと書いてもらうことが大切です。
肺を切除した後でも対象になる?
肺葉を切除したり、片方の肺を全部取ったりした場合も、障害年金の対象になることがあります。
ただ、手術したからすぐに年金がもらえる、というわけではないです。
大事なのは、手術後の肺の働きが認定基準を下回っているかどうか。
片方の肺を全部取ると、肺活量は50%くらいまで落ちます。
でも、3級の基準は40%以下なので、術後に呼吸機能がある程度戻れば、等級に当てはまらない場合もでてきます。
一方で、合併症などで肺の働きがずっと低いままなら、3級や2級に認定される可能性も出てきます。
障害年金は「症状が落ち着いた状態」で判断されるので、手術直後ではなく、しばらく経ってからの状態で見られます。
それから、肺がんが脳や骨に転移している場合は、そちらも含めて総合的に判断されます。
転移で車椅子生活になった方が、障害厚生年金2級を受給できた例もあります。
転移がある方は、診断書にしっかり書いてもらってくださいね。
申請するとき、ここに気をつけて

肺がんで障害年金を申請するとき、診断書の書き方ひとつで結果が変わってしまうことがあります。
ここでは、診断書作成で大事なことと、「自分は対象外だ」と思い込んでしまいがちな誤解についてお話しします。
診断書には「生活の困りごと」を具体的に
肺がんの障害年金では、「血液・造血器・その他の障害用」という診断書(様式第120号の7)を使います。
この診断書で特に大事なのが、一般状態区分表(ア〜オ)という欄なんです。
これはPS分類に当たるもので、日常生活がどれくらい制限されているかを表します。
お医者さんは、あなたの状態を見て「ウ(身の回りのことはできるけど軽い仕事は無理)」とか「エ(半日以上寝ていて、介助が必要)」といったところにチェックを入れます。
この欄が等級を決める鍵になるので、実際の状態に合った区分を選んでもらうことがすごく大切なんです。
呼吸機能の検査結果や、在宅酸素を使っているかどうかも書く欄があります。
できるだけ直近の検査結果を載せてもらいましょう。
酸素を使っているなら、いつから使い始めたか、どれくらいの量かも書いてもらえるといいです。
ここで大事なのは、「生活でどれだけ困っているか」を、お医者さんにちゃんと伝えること。
主治医は治療のことに意識が向きがちですが、障害年金の審査で見られるのは「生活への影響」です。
「少し歩くだけで息が切れて、買い物にも行けないんです」
「抗がん剤の副作用で、長い時間起きていられなくて……」
こういうことを、メモに書いて渡すのもいい方法です。
転移がある方は、そのことも必ず診断書に書いてもらってください。
「転移のことを書かなかったから不支給になった」という話も、決して珍しくありません。
「自分は対象外」と決めつけていませんか?
肺がんで障害年金を諦めている方のなかには、誤解からそう思い込んでしまっている方がけっこういらっしゃいます。
誤解その1:「在宅酸素を使っていないと対象にならない」
そんなことはありません。
酸素を使っていなくても、呼吸機能が落ちていたり、抗がん剤の副作用で生活に支障が出ていたりすれば、対象になります。
酸素なしでも、息切れで通院や軽い作業がつらい方が、2級に認定された例もあります。
誤解その2:「働いていたら障害年金はもらえない」
働いていても、状態が基準に当てはまれば受給できます。
実際に、仕事を続けながら障害厚生年金3級を受け取っている肺がん患者さんもいます。
勤務時間を減らしていたり、仕事内容に制限があったりするなら、そのことを申立書に書きましょう。
誤解その3:「がんは対象外」「障害者手帳がないとダメ」
がんも、障害年金のれっきとした対象疾患です。
障害者手帳を持っているかどうかは、関係ありません。
障害年金と障害者手帳は別の制度。手帳がなくても、年金は受け取れます。
誤解その4:「手術で取り切れたら対象にならない」
手術でがんを取っても、重い後遺症が残っていれば対象になります。
肺を全部取って呼吸機能がひどく落ちた方、介助が必要な状態の方が、2級相当と認定されることもあります。
誤解その5:「ステージが低いともらえない」「副作用は対象外」
ステージは認定の基準ではありません。
ステージIでも後遺症がひどければ受給できることがありますし、逆にステージIVでも生活に支障がなければ不支給になることもあります。
抗がん剤の副作用、倦怠感や手足のしびれも、生活に影響していれば認定の大事な要素になります。
いくらもらえる?申請の流れも

障害年金の申請は、必要な書類を揃えて年金事務所に出す、という流れで進みます。
ここでは、申請の進め方と、受け取れる金額の目安をお伝えします。
申請は5つのステップ
障害年金の申請は、こんなふうに進んでいきます。
- 初診日を確認して証明をもらう:肺がんで最初にかかった病院で「受診状況等証明書」を出してもらいます。カルテが残っていなくても、別の書類で証明できることがあります。
- 必要な書類を準備する:年金請求書、年金手帳、戸籍抄本(必要な場合)などを揃えます。
- 診断書を書いてもらう:主治医に障害年金用の診断書をお願いします。肺がんの場合は「様式第120号の7」というものを使います。
- 病歴・就労状況等申立書を作る:発病してから今までの経過や、生活・仕事への影響を、自分の言葉で書く書類です。診断書だけでは伝わりにくい、日々のつらさを補足できます。
- 提出して審査を待つ:年金事務所(厚生年金の方)か市区町村役場(国民年金の方)に出します。結果が届くまで、だいたい3〜6か月くらいです。
「書類を作るのが不安」という方は、社会保険労務士に相談するのも手です。
私たちの事務所では*受給決定率99%という実績があります。
初回のご相談から受給が決まるまで、専任のスタッフがずっとお付き合いさせていただきます。
年間83万〜176万円が目安
障害年金の金額は、等級と、入っていた年金制度によって変わります。
下の金額は、令和7年度(2025年度)のものです。
障害基礎年金(自営業の方、主婦の方など)
| 等級 | 年額 | 月に換算すると |
|---|---|---|
| 1級 | 約103万円 | 約8.6万円 |
| 2級 | 約83万円 | 約6.9万円 |
障害厚生年金(会社員の方など)
| 等級 | どう計算する? |
|---|---|
| 1級 | 報酬比例の年金額×1.25 + 障害基礎年金1級の額 |
| 2級 | 報酬比例の年金額 + 障害基礎年金2級の額 |
| 3級 | 報酬比例の年金額だけ(最低でも年約62万円は保証) |
たとえば、平均的なお給料で20年働いていた方なら、2級で年間約140万円、1級で年間約176万円くらいになります。
18歳未満のお子さんがいれば、1人につき年間約23万円がプラスされます。
配偶者がいる方(1級・2級の場合)は、年間約23万円の加給年金もつきます。
よくある質問

Q1:抗がん剤治療の副作用が日によって違います。診断書にはどう書いてもらえばいいですか?
A:もっとも症状が重いときの状態を具体的に伝えてください。
抗がん剤治療は投与直後と回復期で症状がまったく違います。
「良いときもあるから…」と遠慮すると、診断書も軽く書かれて不支給になることがあります。
医師に伝えるべきこと:投与後○日間はベッドから起き上がれない、吐き気で食事が取れない日が週に○日ある、手足のしびれで箸が持てない、など具体的な支障を記録して見せてください。
症状の波がある場合は、一番つらい状態がどの程度か、月にどれくらいの頻度で起こるかを伝えることが大切です。
Q2:肺がんの初診日はいつになりますか?健康診断で見つかった場合は?
A:発見の経緯によって初診日は変わります。
- 健康診断で異常が見つかった:精密検査(CT検査や気管支鏡検査)を受けた日
- 咳や息切れなどの症状で受診:その症状で初めて受診した日
- 別の病気の治療中に発見:肺がんの検査・治療を開始した日
初診日によって、厚生年金(3級も可)か国民年金(2級以上のみ)かが決まり、受給額に大きく影響します。
初診日の証明には「受診状況等証明書」が必要です。
カルテの保存期間は5年間のため、早めに確認しておくことをおすすめします。
Q3:手術で腫瘍を取り除きましたが、まだ申請できますか?
A:手術後の後遺症で生活に支障があれば対象になります。
肺を切除したことによる呼吸機能の低下が認定基準に該当すれば、障害年金の対象になります。
手術から1年6か月経過した時点、または申請時点での呼吸機能検査の結果(%1秒量、PaO₂など)と、階段の昇降、家事、入浴などでの息切れの状況を診断書に書いてもらってください。
脳転移や骨転移がある場合は、それらも含めて総合的に評価されるため、診断書に必ず記載してもらいましょう。
Q4:一度不支給になりました。再申請はできますか?
A:再申請は可能です。不支給の理由を分析することが大切です。
不支給になった場合、「審査請求(3か月以内)」「再審査請求」「新たな請求(症状悪化時)」の3つの方法があります。
不支給になる主な理由:診断書に日常生活の支障が具体的に書かれていない、検査データが古い、全身状態(PS分類)の評価が実態より軽い、転移の記載が漏れている、など。
当事務所では、一度不支給になった方の再申請もサポートしており、診断書の内容を専門家がチェックして改善点を洗い出します。
諦めず、まずは無料相談で状況をお聞かせください。
最後に:肺がんでも、障害年金は受け取れます
肺がんは、障害年金の対象です。
治療を続けながら、お金のことが心配で夜も眠れない——そんな方にも、受給の可能性はあります。
- 肺がんでも障害年金の対象。病名じゃなくて、生活への影響で判断される
- 呼吸機能の数値、在宅酸素療法、PS分類が認定のカギ
- 働いていても、酸素を使っていなくても、対象になることがある
- 診断書に「生活でどれだけ困っているか」を具体的に書いてもらうのが大事
- 一度ダメでも、書類を見直して受給できた方もいる
障害年金は、あなたがこれまでコツコツ納めてきた保険料にもとづく、正当な権利です。
「自分は対象になるのかな……」と迷っている方も、まずは状況を確認してみませんか。
私たちの事務所には、年金事務所で10年以上の経験を積んだスタッフがいます。
最初のご相談から、年金を受け取れるようになるまで、ずっと一緒に歩みます。
受給決定率は99%です。
ご相談は無料ですので、お気軽にどうぞ。
あなたの今のお気持ちやお悩み、まずは聞かせてください。
どうか、一人で抱え込まないでくださいね。
この記事を書いた人
西田 真琴【社会保険労務士法人きんか代表】
【保有資格】特定社会保険労務士 岐阜県で長年の企業労務経験と傾聴力を活かし、病気や障害を抱える方の不安に寄り添います。お話を親身に伺い、ご希望に沿った最善の道筋を一緒に見つけます。
