column

がんで障害年金を受給できる?対象条件と認定基準を解説

がん治療で仕事を休んだり辞めたりして、収入が減ってしまった。

治療費や生活費の心配で、治療に専念できない……。

そんな不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、がんでも障害年金を受け取れる可能性があります。

抗がん剤の副作用で日常生活に支障が出ている方、がんによる臓器機能の障害がある方など、がん特有の症状でも対象になるケースがあるのです。

この記事では、がんで障害年金を受け取るための受給条件や認定基準、申請のポイントまで、社会保険労務士が詳しく解説します。

この記事でわかること
  • がんでも障害年金を受け取れるかの判断基準
  • がんによる臓器機能障害・抗がん剤副作用など対象となる症状
  • 診断書を充実させるための3つのポイント
  • もらえる金額の目安(1級〜3級別)
  • 働きながら・在宅治療中でも受給できるか

社会保険労務士法人きんかでは、年金事務所で10年以上の実務経験を持つ専門スタッフが在籍しています。

この記事を書いた人
アバター画像
西田 真琴【社会保険労務士法人きんか代表】

【保有資格】特定社会保険労務士                              
岐阜県で長年の企業労務経験と傾聴力を活かし、病気や障害を抱える方の不安に寄り添います。お話を親身に伺い、ご希望に沿った最善の道筋を一緒に見つけます。

がんでも障害年金はもらえる?知っておくべき基本知識

障害年金は症状や生活への影響によって判断されるため、具体的な状態を確認することが大切です。

もしかして対象かも?まずは簡単チェック

「自分が対象かどうか」を先に確認しておくと、この後の内容がぐっと理解しやすくなります。次のうち、1つでも当てはまる方は、障害年金を受給できる可能性があります。

  • 人工肛門(ストーマ)を造設している
  • 抗がん剤治療の副作用で、家事や身の回りのことが思うようにできない
  • 体力や体調の問題で、フルタイム勤務が難しい

「がん=対象外」と思われがちですが、がんによる身体機能の低下や副作用も、障害年金の認定対象になるケースがあります。

現時点では当てはまらない場合でも、症状の変化や治療の進行によって、後から対象になるケースも少なくありません。

判断基準を知っておくことで、いざというときに備えることができます。

結論からお伝えすると、がんも障害年金の対象です。

ただし、すべてのがん患者がもらえるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。

このセクションでは、がんで障害年金をもらうための基本的なポイントを解説します。

がんも障害年金の対象です

障害年金とは、病気やケガで日常生活や仕事に制限が出た場合に現役世代でも受け取れる公的年金制度です。

手足の障害などの外見的な障害だけでなく、糖尿病や心疾患、がんなどの内部疾患も対象です。

日本年金機構の公式Q&Aでも「がんや糖尿病、心疾患など内部疾患の方も対象です」と明記されています。

参考:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件について

「身体に明らかな障害がないと障害年金は無理」「障害者手帳がないともらえない」という誤解を持たれている方もいらっしゃいますが、これは誤りです。

見た目に障害がなくても、体内の臓器機能の障害(内部障害)があれば認定の対象になります。

実際に、がんによる倦怠感や痛みなど客観的に見えにくい症状でも、日常生活に支障が出ていれば対象となる可能性があります。

がんで障害年金を受給するための3つの条件

障害年金をもらうには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 初診日が年金加入期間中であること
  2. 一定期間以上の保険料を納めていること
  3. 障害等級(1級・2級・3級)に該当すること

初診日とは「その病気で最初に医師の診療を受けた日」のことです。

がんの場合は「がんと診断された日」ではなく「がんに関する症状で初めて病院にかかった日」が初診日となります。

この初診日が、国民年金または厚生年金に加入している期間中である必要があります。

保険料納付については、原則として加入期間の3分の2以上の納付済み期間(納付免除期間を含む)が必要です。

ただし特例として、初診日が2036年3月31日までの場合は「直近1年間に未納がない」ことでも要件を満たせます。

障害等級は、国の定めた障害認定基準により1級・2級・3級のいずれかに認定される必要があります。

  • 1級:常に介助が必要で日常生活がほぼできない程度
  • 2級:日常生活が著しく制限され介助なしでは困難な程度
  • 3級(厚生年金のみ):労働が著しく制限される程度

厚生年金加入者(会社員・公務員など)は1〜3級のいずれかに該当すれば受給できます。

国民年金のみの方(自営業・専業主婦など)は2級以上が必要です。

受給は自分で申請する必要あり

障害年金は「請求主義」のため、自分で申請しなければ支給されません。年金事務所から「障害年金を申請してください」という通知は来ないのです。

また、申請できるタイミングも決まっています。原則として、初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)以降に申請が可能です。

ただし、がんの場合は人工肛門造設後6ヶ月など、1年6ヶ月を待たずに申請できるケースもあります。

がんの治療で経済的に不安を感じている方は、まず受給の可能性を確認することが大切です。

制度を知らずにもらい損ねている方が多いのが現状です。待っていても支給されることはありませんので、早めの相談をおすすめします。

がんによる障害年金の認定基準とは?

まず理解しておきたいのは、がん専用の認定基準があるわけではないということです。

障害年金の認定では、病名そのものではなく、その病気によって日常生活や労働にどのような支障が出ているかを見るのです。

認定の軸となるのは、以下の2点です。

  • 日常生活への支障
  • 労働能力への制限

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

日常生活への支障|介助や日常動作への影響があるか

障害年金の認定では、「日常生活にどの程度支障があるか」が重要な判断基準となります。

具体的には以下のような状態を指します。

  • 身の回りのことに介助が必要
  • 家事ができない
  • 外出が困難
  • 一人での生活が難しい

単に「疲れやすい」「だるい」というだけでなく、身の回りのことに介助が必要だったり、家事ができなかったりする状態が該当します。

日常生活の支障を医師に正確に伝え、診断書に記載してもらうことが重要です。

労働能力への制限|就労への制限や配慮は必要か

日常生活だけでなく、労働能力への制限も認定基準に含まれます

特に厚生年金では、3級の認定基準として「労働が著しく制限される程度」が目安です。

以下のような状態が該当します。

  • 就労が困難または著しい制限がある
  • フルタイムでの勤務ができない
  • 頻繁な通院や休みが必要
  • 配置転換や業務内容の変更を受けている
  • 障害者雇用枠で働いている

働いているから認定されないわけではなく、どのような配慮を受けているか、どのような制限があるかが重要です。

労働への支障を具体的に説明することで、認定の可能性が高まります。

がんで障害年金を受けるために押さえるべきポイント

がんで障害年金を受けるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

押さえるべきポイントは、以下の3つです。

  1. 自分の症状が対象になるかを確認する
  2. 初診日の特定と証明
  3. 診断書の記載内容

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

自分の症状が対象になるかを確認する

申請前にまず確認すべきなのは、自分の症状や障害が認定対象になるかです。

がんによる障害年金の対象となるのは、主に以下のような症状・状況です。

  • 手術による身体的な変化(人工肛門造設、新膀胱造設、喉頭摘出など)
  • 在宅酸素療法(常時使用している場合)
  • 抗がん剤治療の副作用(倦怠感、手足のしびれ、吐き気・食欲不振など)

手術による身体的な変化は、造設・摘出後の日常生活や労働への支障を総合的に判断します。

抗がん剤治療の副作用については、一時的なものではなく、日常生活への継続的な影響があることが重要です。

例えば、倦怠感で家事や仕事ができない手足のしびれで箸が持てない・歩行困難、吐き気・食欲不振で体重減少や栄養失調に至るほどの状態などが該当します。

「目に見える障害」だけでなく、「内部障害」「機能障害」も認定されます。

単に「副作用がある」というだけでなく、「副作用によって日常生活にどのような影響が出ているか」を具体的に示すことが重要です。

1年6ヶ月の待機が不要なケース

通常、障害年金は症状が障害であると確定する(症状固定)、傷病手当金との兼ね合いから初診日から1年6ヶ月経過後に申請できますが、以下の障害は1年6か月を待たずに、障害認定日が設定されます。

  • 人工肛門造設:造設後6ヶ月経過時に障害認定(原則3級、状態により2級)
  • 新膀胱造設:造設後6ヶ月経過時に原則3級として認定
  • 喉頭摘出:摘出日に原則2級として認定
  • 在宅酸素療法:常時使用している場合は原則3級として認定

3級は厚生年金加入者のみが対象です。国民年金のみの方は2級以上に該当する必要がありますが、状態によっては2級に認定される可能性があります。

ただし、人工肛門造設だけで自動的に認定されるわけではありません。造設後の日常生活や労働への支障を総合的に判断します。

初診日を正確に特定する

障害年金の申請で最も重視されるのが初診日の特定と証明です。

がんの場合、「がんと診断された日」ではなく、「がんに関連する症状で初めて医師の診察を受けた日」が初診日になります。これは非常に重要なポイントです。

例えば、健康診断で異常を指摘され精密検査を受けた日や、胃の不調で内科を受診し後日がんと診断された場合は最初に内科を受診した日が初診日になります。

がんの場合、初診日が古く(10年以上前など)カルテが残っていないケースも多いですが、代替資料(健康診断結果、診察券など)で証明できる場合があります。

診断書の記載内容を充実させる

がんで障害年金を申請する際は、診断書の記載内容を充実させることが重要です。

なぜなら、がんの場合は申請が難しいと言われているからです。

申請が難しいと言われる理由は、症状が変動すること、診断書に「日常生活の支障」が十分に記載されにくいこと、「働けるならもらえない」という誤解があることなどが挙げられます。

以下の3点を意識することが重要です。

  1. 診断書に具体的な日常生活の支障を記載してもらう
  2. 申立書に具体的なエピソードを盛り込む
  3. 診断書と申立書の内容を一致させる

診断書には「家事ができない」「外出が困難」など具体的な困りごとを記載してもらい、申立書には「駅の階段で倒れそうになった」などのエピソードを盛り込むことで説得力が増します。

また、診断書と申立書の内容に矛盾があると審査で疑義が生じるため、内容を一致させることが重要です。

きんかでは、診断書の依頼状作成から内容チェック、申立書の作成支援まで、認定率を高めるサポートを行っています。

障害年金でもらえる金額はいくら?等級別の受給額

障害年金の金額は、障害等級と加入していた年金制度(国民年金 or 厚生年金)により異なります。

このセクションでは、2025年度の最新金額と、がんで受給した場合の具体例を紹介します。

障害基礎年金|国民年金加入者の受給額

障害基礎年金(自営業、専業主婦、学生など国民年金に加入していた人)の受給額は以下の通りです。

  • 1級:年額 約103万円(月額 約8.6万円)
  • 2級:年額 約83万円(月額 約6.9万円)

子どもがいる場合は加算があります。第1子・第2子は各約23万円、第3子以降は各約7.7万円が加算されます。

出典:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法

障害厚生年金|厚生年金加入者の受給額

障害厚生年金(会社員、公務員など厚生年金に加入していた人)は、過去の報酬額や加入期間により個人差があります。

  • 1級:報酬比例部分の1.25倍 + 障害基礎年金(年額約103万円が別途支給)
  • 2級:報酬比例部分 + 障害基礎年金(年額約83万円が別途支給)
  • 3級:報酬比例部分のみ(最低保障額:年額約62万円、月額約5.1万円)※障害基礎年金は支給されません

配偶者がいる場合は加算があります(1級・2級のみ:約23万円)。※3級には配偶者加算はありません。

平均的な会社員の場合、2級で年額100〜120万円程度になることが多いです。

報酬比例部分は、厚生年金加入時の給与額と加入期間により計算されます。給与が高く、加入期間が長い人ほど受給額が多くなります。

出典:日本年金機構|障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法

【事例】直腸がんの50代女性の場合

直腸がんと診断され、複数の臓器に転移、数回にわたる手術や抗がん剤治療を受けた50代女性の事例です。

心身ともに疲弊した状態で、ご主人が調べて自力で申請したものの不支給となりました。

しかし、きんかに相談して書類の問題点を洗い出し、必要な対策を講じて2回目の請求を行った結果、障害基礎年金2級(年額約83万円)の受給決定に至りました。

「自分の場合いくらになるか」を知りたい方は、無料相談で試算が可能です。

よくある質問:がんの障害年金について

がんの障害年金について、よくある質問にお答えします。

Q1:がんが再発・転移した場合、障害年金はどうなりますか?

A:再発・転移したからといって、自動的に等級が変更されるわけではありません。

障害年金の等級は、再発や転移の有無ではなく、日常生活や労働への支障の程度で判断されます。

状態が悪化し、生活への支障が大きくなった場合は「額改定請求」を行うことで等級が上がる可能性があります。

また、定期的な更新審査(1〜5年ごと)の際に、再発・転移による状態変化が反映されるケースが多く見られます。

Q2:治療が一段落して「経過観察」になったら、障害年金は止まりますか?

A:経過観察になったからといって、すぐに止まるわけではありません。

治療が終了しても、後遺症や倦怠感、体力低下などで日常生活に支障が続いている場合は、障害年金を継続して受給できます。

重要なのは「治療中かどうか」ではなく、「日常生活にどの程度支障があるか」です。

ただし、定期的な更新審査で状態が改善していると判断されれば、等級が下がったり支給が停止される可能性はあります。

Q3:初診日から1年6か月経つ前に、がんが急激に悪化した場合はどうなりますか?

A:原則として、初診日から1年6ヶ月経過するまで待つ必要があります。

ただし、人工肛門造設(造設後6ヶ月)、新膀胱造設(造設後6ヶ月)、喉頭摘出(摘出日)の場合は、1年6ヶ月を待たずに障害認定日が設定される特例があります。

これらの特例に該当しない場合でも、1年6ヶ月経過後に「事後重症請求」として申請することで、申請時点の状態で認定を受けられます。

急激に悪化した状態を診断書に記載してもらうことが重要です。

なお、特例の対象にもならず、初診日から1年6か月経過前に亡くなった場合、原則として、障害年金の申請はできません。

ただし、遺族基礎年金や遺族厚生年金の対象となる可能性があります。

Q4:がんと精神的な不調(うつ・不安)がある場合も対象になりますか?

A:はい、精神疾患として障害年金の対象になる可能性があります。

がん治療に伴ううつ病や不安障害は、がんとは別の傷病として評価されます。

精神科や心療内科で診断を受け、継続的に通院している場合は、精神疾患としての障害年金申請が可能です。がんによる身体的な障害と精神疾患の両方がある場合、それぞれ別々に評価され、より重い方の等級で認定される、または併合される場合もあります。

Q5:がんで一度不支給になりましたが、再申請はできますか?

A:はい、再申請は可能です。

一度不支給になっても、状態が悪化した場合や、診断書・申立書の内容を改善することで再請求ができます。

不支給の理由は、診断書に日常生活の支障が十分に記載されていなかったケースが多く見られます。

専門家(社労士)に依頼することで、診断書の記載内容を充実させ、認定につながる事例も多数あります。

きんかでも、再申請で受給決定した実績があります。

がんの障害年金は諦めずにまずは相談を

この記事では、がんで障害年金を受給するための条件と認定基準、申請のポイントを解説しました。

この記事のポイント
  • がんも障害年金の対象(内部障害として認定される)
  • がんによる臓器機能障害・新膀胱・抗がん剤副作用も対象になる
  • 働きながら・在宅治療中でも受給できる可能性がある
  • 診断書に日常生活の支障を具体的に記載することが重要
  • 申請しなければもらえない

がんでも障害年金を受給できる可能性があることをご理解いただけたでしょうか。

ただし、診断書や申立書の内容が不十分だと不支給になりやすいのも事実です。専門家のサポートがあると安心です。

社会保険労務士法人きんかでは、年金事務所で10年以上の実務経験を持つ専門スタッフが、診断書のチェックから申立書の作成まで丁寧にサポートします。

がんを含むさまざまなケースで豊富な実績があり、一度自力で申請して不支給になった方でも、再申請で受給できた事例が多数あります。

初回相談無料、着手金なしの完全認定報酬制ですので、リスクなくご相談いただけます。

がんで経済的に不安を抱えている方は、諦めずにまずは無料相談をご利用ください。

電話・LINE・Webフォームで受付中です。

あなたの生活を守るために、一緒に前に進みましょう。

この記事を書いた人
アバター画像
西田 真琴【社会保険労務士法人きんか代表】

【保有資格】特定社会保険労務士                               岐阜県で長年の企業労務経験と傾聴力を活かし、病気や障害を抱える方の不安に寄り添います。お話を親身に伺い、ご希望に沿った最善の道筋を一緒に見つけます。

この記事をシェアする

関連記事

TOPへもどる

まずは気軽にする

障害年金の申請には、悩みや不安がつきもの。
私たち「きんか」が、
受給への道のりを一緒に歩みます。
一人で抱えず、まずは気軽にご相談ください。